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   テーマ 136 “部下の意見を聞く、部下と話をする”
          得られるもの5つ
        

1.新しいアイデア、発想を得る

プレジデントオンライン
『戦後70年、今こそ「失敗の本質」を問い直す』

という一橋大学名誉教授野中郁次郎氏による
投稿記事の中に下記のような記述があります。

-----
「新たな知は、経験に基づいて暗黙のうちに
 持つ主観的な暗黙知と、

 言葉で表現できる客観的な形式知が、
 対話を通して相互に変換し、

 スパイラルに循環していくなかで生まれる。

 このプロセスにより、
 知識は個人、集団、組織の間を循環し、

 より豊かに増幅されながら、
 新しい価値として具現化されていく」

「ミッドウェー作戦においても、敵機動部隊撃滅を
 目指した山本長官の戦略と、ミッドウェー島占領を

 主目的とした機動部隊との間で整合性が欠如した。

 それは山本長官が作戦部隊との間での開かれた
 対話に注力しなかったことに起因した。

山本五十六は考え方の異なる相手との対話は好まず、
自らの暗黙知を形式化して共有する開かれた

対話を行うタイプのリーダーではなかったといわれる」
-----

職場の中でのコミュニケーションの大きな目的の一つとして、
「新しいビジネスチャンスを見つける」、
「仕事の付加価値を高める」ことが上げられます。

野中教授の言葉にあるように、組織の中で、
「新たなアイデア」や「よりよい方法」
を見つけていくには、人との対話が絶対重要となります。

「我以外、皆、我が師」という言葉もあるように
部下の方とコミュニケーションをとる時は、

謙虚な気持ちで、部下の話を聞き部下と
意見を交わすことが必要です。

部下との会話の中で、いろいろな気づき、
発想が生まれる可能性があります。

2.部下の主体性、モチベーションを得る  

部下の方とコミュニケーションをとる時は、教えるという態度で、
上司としての自分の考えを正論のように押し付けるのではなく

「部下が考えていることを引き出す」話し方が必要です。

部下の方に対する問いかけの言葉を工夫し、
部下の方の考えを整理し、聞いて上げ、

部下の意見を実際に仕事の中に取り入れていくと、
部下の方は、当然、主体的に自ら行動するようになります。

人は、

「目標へ取り組む実際の行動、努力、
 アイデア、ひらめき、将来への展望」

などによりモチベーションを高めていくものです。

部下に発言させ、その発言を仕事に取り入れ、
部下の方に行ってもらうことにより、
部下の方のモチベーションは当然上がっていきます。

3.運命共同体をつくることができる  

徳川家康は、幕閣を集めて、敵に勝つための作戦会議を開くときは、
結論を持っていても、決してそれを、自分では口にはしないで、
幕閣たちに考えさせて、幕閣たちに、発言させたといいます。

幕閣たちは、結論を得るために、いろいろと策を練ります。
この当時は、戦いに負けると殺されてしまうので、
自分たちが勝つために必死に考えます。

この考える過程の中で、一体感が生まれ、
運命共同体をつくることができるとのことです。

また、ドイツの心理学者クルト・レヴィン氏の
研究に下記のようなものがあります。

「人は、会議など集団決定に参加すると、
 集団決定に参画したという意識が、
 実行しようとする主体的意欲を高める。

 これは、申し合わせの結果が、
 個人の恣意にゆだねられるものではなく、
 それを実行させるような一種の強制力を持つからである。

 集団決定は、その決定に参画した人々のそれを
 達成しようとする意欲を刺激する。」

上記のように部下の方を集めた打合せの場では、
「部下に発言させ、部下の意見を聞く」
ことにより担当部署を運命共同体とすることができます。

4.部下からの信頼を得る  

部下の話は、上司としては、
部下から言われなくても分かっていることも多くあり、

たくさんの仕事を抱えている中で、
話を聴くのは、精神的にも大変な面があります。

しかし、上司となった以上、
どんなに忙しくとも部下のために時間を使う覚悟が必要です。

特に、部下の話をきちんと聴くことに時間を使うことが重要です。

部下は、上司がきちんと話を聴いてくれると、
上司は自分のことを理解してくれている、
認めてくれていると思います。

部下によっては、話下手な部下もいます。
また上司の前では、萎縮し、緊張して、
よけいに上手く話ができなくなる部下もいます。

部下の話を整理し、要点をとらえて、
その内容を確認しながら話を聴いてあげると、
部下も落ち着いて話をするようになります。

聴くという字は、「十四の心で耳を傾ける」と書きます。
部下とコミュニケーションをとるときの基本は、
まず、心をこめて、全身で、部下の話を最後まで聴くことです。

忙しそうに、イライラしながら仕事をしている上司には、
声を掛けづらいものです。

部下から見られていることを常に意識して、
声を掛けやすい雰囲気づくりを心掛け、
平常心で仕事に取組むことが重要です。

上記のようなことに注意し、部下との会話を心掛けると、
当然部下から信頼される上司となります。

5.部下の成長を得る  

部下の方は、だれもが、

「仕事を通して成長したい」、
「新たな仕事にチャレンジしたい」

という気持ちを持っています。

上記1〜4のことが実践できると

「仕事を通して成長したい」、
「新たな仕事にチャレンジしたい」

という部下の方の想いは実現し、
職場での言動が大きく変わっていきます。